◆ 増え続ける脂肪細胞は白色脂肪細胞 ◆
脂肪細胞には
WATと
BATがあります。
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WATが白色脂肪細胞で
BATが褐色脂肪細胞です。
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WATは全身に分布していて脂肪を沢山蓄えています。
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単に脂肪細胞と言ったらWATを指します。
一方、
BATは場所が限定されていて、成人になると減少します。
WATは成人後も増え続けます。
BATの主な役割は産熱、つまり体温を作ることです。
◆ WATが増え続ける仕組み ◆
学問的には脂肪細胞も筋肉や骨と同じ中胚葉に由来して発生します。発生学の分野になりますが。脂肪が他と大きく違うのは、運動とか食べ物の摂取などの環境要因が形成を制御していることです。
他の細胞は人間の発育時という限られた期間で形成されます。脂肪はこれとは違います。
脂肪の場合は運動とか食べ物によって一生形成されます。厄介でもあります。
◆ だから、太り続けてしまう ◆
WATの増殖の仕方は、凡そ4段階です。
@未分化の細胞が形成される。何になるか決まる前の細胞です。
Aこの細胞が増殖して増える。
B脂肪細胞へと分化する。
Cこの細胞に脂肪が蓄積して成長する。
@とAが重要になります。
倍倍で増えます。
細胞分裂のある時期に特定の増殖因子が関与している事がマウスなどの実験で明らかになっています。
@Aを前駆脂肪細胞、増殖因子を前駆脂肪細胞増殖因子と呼んでいます。
単語をくっ付けただけです。
動物実験では増殖因子は他の細胞、つまり脂肪以外の細胞には作用しない事もわかりました。
◆ これで脂肪細胞が増える? ◆
いいえ、@、Aは未分化段階ですから、まだ脂肪細胞ではありません。
増殖因子で増えるのは、未だ脂肪と決まってない段階の
Aです。
スタンバイの状態です。
この段階で脂肪分化へのスイッチが入ってしまうと一気に脂肪細胞が増えます。
このスイッチを押すのは、インスリンです。
インスリンは血液中の糖が増えると、強い反応を示すホルモンです。
◆ インスリンが強い反応しなければ増殖は抑えられる ◆
これが解明され良い方法が見つかれば肥満の科学的な予防や治療に役立つ筈です。
現時点ではまだ方法も見つかっていなく、見つかっても他への影響も研究課題として残ります。
そう簡単には上手い話では無いと思います。
しかし、これらの事実は肥満防止の大きなヒントを与えて呉れています。
暴飲暴食や過食、寝る前のドカ喰い。これらがインスリンを刺激しますから、一気にスイッチが入ってしまいます。
これを止めれば、スイッチがたやすく押されなくなります。
『暴飲暴食を謹んで規則正しい生活』、には科学的裏づけが有りました。